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レトロで正しい進化を成し遂げた機械式デジタルカメラ(フジフィルム社製 FinePix X20)

【更新履歴】

-2014年6月28日 ロングタームインプレッションを追加

-2013年5月18日 ロングタームインプレッションを追加

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こんなものが出てくれないかと何年も待っていて、ついに! と出てきたのが前機種のX10。X10のデザインをまったく変更せず、また硬派なことに画素数も変更なしで進化させたのがX20。ふつうなら、デザインを変えるか画素数とか分かりやすい数値的なとこを変えるのが常道の日本製電気製品にあっては、なんとも硬派なことである!

メーカーによると画像処理エンジンを刷新しているとのこと。

しかしそんな売り文句では申し訳ないが、もう消費者はあまりココロ踊らない。

しかし、画素数も変えなかったぐらいだから、何かやってくれるはずだと思って、もうこれだけでも期待していたのだが、やっぱりダテではなかった。

見た目は同じながら、X10で「これがあったならな」と思った第一の機能。

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X10とは微妙に形状の違うファインダー部・・何かある、と思ったら、プリズムを使った光学ファインダーに絞り値や補正値などの各種データが表示されるようになったのです!!

よくあるファインダーのかっこをした液晶画面ではない。れっきとした光学ファインダーに、デジタルデータが表示されるのである。

じつは半透明の液晶フィルムをかましているのだとか。だから最初、バッテリーを入れずにファインダーをのぞいたら、暗くてびっくりした。不良品かと思った。

ところがバッテリーを入れると、電源を入れなくてもファインダーがクリヤーになった。

えっ? と思って、もう一度バッテリーを抜くと、また暗くなった。

この半透明の液晶膜は微電流を通電させることで、透明になる。てことは、電源を入れなくても、つねにバッテリーを消費していることじゃないか、と思ったが、まさにそのとおり。

ただし、すごくわずかな電流とのこと。

実際、使ってみた感じでは、使用しない期間も含めてX10に比べてバッテリー消費が早いという感じはしないので、とりあえず気にしなくてよさそう。

とにかくこのファインダーのおかげで、X10のときは絞り値などを確認するとき、いちいちファンダーから顔をはずして液晶画面を確認しなければならなかったが、その動作が不要になり、撮影に集中することができるようになった。これはとにかく祝!

さらに、ファインダーの横に小さなセンサーがついていて、ファインダーをのぞいた瞬間、液晶画面がぱっと消える。うん、節電。もともとX10のころからバッテリーの持続時間が短い欠点があったから、この節電機能はありがたい。ますます撮影に集中できる。

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一眼レフでさえ、どこかプラスチッキーな造形になってきてしまった今日このごろ。

デジタルカメラでありながら機械式の味わい。けっしてアンティークを狙っているわけではなく、使いやすさをきわめると、機械式のダイヤルであったり、光学式のファインダーであったり、そこに行き着くのではないか。

液晶モニタを凝視して、メニューを呼び出し、面倒くさい操作を経ないと、絞りもシャッター速度も、ピント調整もできないようなコンパクトデジカメが主流の中、ついにやってくれたX10のよいところは、そっくりそのまま。そう、変えないこと、変わらないことがいいことだってあるのだ。

ズームリングを回すと電源が入るというのも秀逸なアイデアもX10とまったく同じ。露出補正、ピント、絞りも、ファインダーをのぞいたまま操作できる。手が覚える感覚だ。

ズームリング、ダイヤル類はなんと金属からの削り出し。

シャッターボタンにいたっては、機械式レリーズを取り付けできるネジ穴つきの金属製。

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なんとレンズキャップまで金属製!

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ダイヤル類は心地よいクリック感を重視したというが、最初に使った印象は硬く、やや渋い。しかしそれは悪くないことだ。金属のパーツがもたらす硬さというものは、何年も使い込んでいるうちになじんでくる予感をさせてくれる。最初から「ほどよい」というのは樹脂的なヤワな発想である。

スペースの問題で、マニュアルフォーカスと絞り、シャッタースピードの操作は背面側の樹脂リングか樹脂ダイヤルで行う。ここのところは樹脂的にヤワではあるが、やむをえまい。

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また、最近では一眼レフでも見られなくなったストラップ部分のこういった細かいパーツ。うれしい。

 

このX20は、単体の写真だけで見ると大きく見えるかもしれないが、じつは大きさは名刺入れとほぼ同じで厚みは二つ折りの財布ぐらい。重量は300g。

サイズに対しての重量感は重すぎず軽すぎず、手のなじみはよい。へらぶなの竿でいえば、「持ちおもりしない」といったところか。

 

一般に、コンパクトデジカメは小さくなればなるほど比重が増して持ちおもりするものが多い。こういうものは手のなじみがわるく、ぽろっと落とすんじゃないかという不安感がつきまとう。名刺入れサイズと300gは気軽にポケットに入れることができて、さっと構えることができるバランスのぎりぎりのラインかと思う。

 

また28mm~110mのズームレンズはけっこう便利。こだわり派には単焦点でなきゃと言われそうだが、単焦点を求めるならX20の上位モデルがちゃんと用意されている。X20はこだわり抜きまでいかない、お手軽こだわりなのだ。

 

価格は高い。しかし古びることなく、ずっと使いつづけることのできるカメラだと思う。

 

残念だったことが1点。

X10に付属していたコンパクトな充電器が、なぜか無骨な安っぽい感じの充電器に変わっていた。プラグ部分が折りたためず、持ち運ぶとき、けっこういやなものがある。どうして変えたのか知りたいところ。

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おまけだが、このXシリーズで、ちょっとうれしかったことについて。

スチール写真時代にFUJIFILMのフィルムを愛用していたのだが、このデジタルカメラには「フィルムシミュレーション」なる設定があって、選択するのが「PROVIA」か「BELVIA」などの名作フィルムの名前が冠されたモード。

今日は風景写真だから、ちょっとBELVIAでいっちゃうか、とか、なんか細かいところで、うれしかったりする。これはデジカメしか使ったことのない人には分からないかもなあ。BELVIA、高かったし。

そうそうX10では目立つところにあった「MADE IN JAPAN」の文字が、渋い位置に移動になっていた。

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おまけにもうひとつ。

X10はブラックのみのラインナップだったのが、X20ではブラックに加えシルバーもリリース。僕は断然ブラックがよかったが、70歳の父がめずらしく「断然シルバーだ」と言うのでシルバーにしてみた。

届いてみて父と顔を見合わせた。もっとシャキッとした金属感のあるシルバーかと思っていたが、ガンメタっぽいお洒落な色だった。

お洒落にしなくていい。金属感むきだしのシルバーにしてほしいというのは僕と父の共通した意見である。

 

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【2014年6月28日 ロングタームインプレッション】

X20を使いはじめて14ヶ月。

オートバイや自転車での移動時、大きな機材を持って行けないシチュエーションでの主力機たる地位は不動である。かなりハードに使っているので、小傷だらけ。傷がつくほどプロっぽく見えるブラックにしておけばよかったかなというプチ後悔。

前モデルX10は、あくまでサブ機という位置づけであったが、このX20はかなり別物といっていい。1年以上たっても、他に欲しいと思うカメラが見つからない。

使い方の変化としては、ここのところファインダーを使わなくなった。液晶ビューで撮ることが多い。というのもファインダーと実映像とに微妙な差が出るから。

もうひとつ。当初は絞り優先モードがメインだったが、このところずっと「アドバンストSR」モードにしている。被写体が風景なのか、人物なのか、花(マクロ)なのか、はたまた夜景なのかを勝手に判断して最適な設定を導き出してくれる。よほどのことがない限り、このまま使うのが目的の条件を満たす結果が得られている。

(2014年6月)

 

 

X10からX20の進化要素として、画素数を変えないまま画像エンジンを刷新したというが、この地味ながらコストのかかるモデルチェンジは、数値に踊らされず、分かる人が分かればいいという正しい進化であった。

風景写真、それも里池の写真を撮影することが多い筆者の場合、前モデルのぱりっとあでやかな写真の仕上がりは、ともすると嘘くさい印象をもっていた。

変哲もない里池・・その表情、個性を写真で表現しようとしたとき、空気の存在を感じさせられるかどうかが鍵だと思っている。

池を撮るのではなく、池の空気を撮るのである。

これが難しくて、最近でいちばんうまくいったのは、ソニー社製のビデオカメラNEX-VG30のスチールモードで撮った写真。ビデオカメラでありながら、もっぱらスチール用として使っているぐらい、このカメラはきれいに空気を捉える。

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(佐久間ダム・千葉県)

 

さて、このX10ではいまひとつだった空気感・・X20は一見、地味な仕上がりに見えるが、空気を捉える性能は格段に向上した。

また、光学ファインダーをのぞきながら露出補正や絞りの数値を確認できるようになったことは想像以上の効果があった。これがあるかないかでは、まったくの別物である。

それに加えてもうひとつ劇的な変化がある。電力消費抑制の大幅向上だ。X10とX20のバッテリーは同型式のもので、コンパクトなボディに納めるために超小型だ。そのためX10では、あきれるぐらい早く残量が減り、出先でバッテリー切れという事態に見舞われることもあった。予備バッテリーは必須と思っていたが、X20になるとまったく違う。

処理エンジンの性能向上も一因ではあると思うが、光学ファインダーが常時使えるようになったこと、ファインダーから顔を離すと自動で液晶パネルがオンになり、無駄に液晶をつけっぱなしにしなくてよくなったことが大きいようだ。いずれにせよバッテリーの持ちは、これまたまったく別物だ。

この信頼性から、里池撮影の東北遠征では、一眼レフやNEX-VG30を持たず、X20単体で行うに至った。この遠征は移動距離が長く、撮影対象が多いこと、クルマを降りて徒歩での移動する場所も多く機動性が求められたので、思い切ってX20縛りで行くことにした。

この遠征では400枚を越える撮影を行ったにもかかわらず、バッテリー残量目盛りは1つ減っただけで余裕があった。

撮影した作例を以下に示す。

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