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カイゼン生活

小さなイラっをカイゼンすれば日々是好日。

ライトタックル感覚の電動リール(シマノ社製フォースマスター400DH)

漁の道具

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正直にいうと、電動リールというものを、ちょっと軽蔑していた。そこまでするか、という感じ。
しかしそうも言っていられない事態が発生した。
いつも舟を出している海は12月から刺し網漁が始まり、常設の定置網とあいまって竿を出せる場所がなくなる。先日も海上で漁船を横付けされて漁師に小言を言われた。網から100mも離れているのにである。
それじゃあどこで釣りをしたらいいのか、と訊ねると、水深120m以上の深場へ行けという。エンジンつきの漁船にのっている漁師は120mとカンタンに言うが、手漕ぎ小舟の120mはまさに板子一枚下地獄・・なかなかの覚悟と体力が必要である。
水深120mの領域は、深すぎてポータブル魚探では計測不能、つまり、やみくもに糸を落とすことになる。流れもあるしラインキャパめいっぱいの200mでも底に届かないこともしばしば。
底につかなければ釣りにならないし、むなしく200mの糸を巻き上げ回収する。これが苦行。想像してみてほしい。小さなハンドルでくるくる200m巻くのだ。しかも意味もなく、というところがほんとうにむなしい。巻いているあいだに舟はどんどん流される。どこまで流されるのだろう。波も高くなってきた。帰りはつらそうだ。


シマノ社製フォースマスター400DHは電動リールでライトタックル感覚を実現した世界初の製品ではないだろうか。
重量は400gを切っており、2013年のダブルハンドルモデルの登場によって、手返し重視のスピーディーで機動力の高い釣りが可能になった。同社の手巻きベイトリール「オシアジガー」は軽量モデルでも390g、しかもダブルハンドルはラインナップにない。

また、メーカー推奨ではないもののPE1号ラインを300mを巻いたことで、繊細なグラスティップのロッドと40gの軽量タイラバの組み合わせさえもこなし、こうなると、もはやライトタックルの領域も電動の守備範囲になったのだと痛感させられる。
とはいっても、水深50m以内であれば手巻きのライトタックルに分がある。上記のオシアジガーといった堅牢なリールはともかくとして、ダイワ社製のジリオンPEスペシャルはダブルハンドルで200gを切っており、100gの違いといえども、繊細なアタリをとるには違いは大きすぎる。
はっきりいって、電動では魚が近づいた気配までは読み取れない。ジリオンならば水流のような、言葉では表現できないような魚の気配を感じることができるので、巻くスピードを少しおさえ、神経を竿先と手もとの感覚に集中することで、微細なアタリをしっかりのせる確率を上げることができた。電動では、ある程度食い込んだときに、やっと手もとに感じるのがやっと。むしろ竿先の動きという視覚的な要素の占める割合が多く、手巻きのときの研ぎ澄ますような感覚にはほど遠い。
そういう意味で釣り味が劣ることは否めない。

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電動のメリットは100m以上の水深で開花する。
70〜120gのタイラバやインチク、あるいはメタルジグ。
手巻きではいったん底まで落とすと、ついつい引き上げるのが億劫になる。この億劫さが電動にはない。1分もあれば勝手に巻き上げて、勝手にストップしてくれるのだ。狭いカヤック船上では、ひとつひとつの動作を確実に行わなければならないのだが、潮の流れが速いときなど、回収に時間がかかると思いがけぬほど定置網や漁船の近くに寄ってしまい焦ったりする。電動であれば、タイラバの巻き上げ、落とし込みをくり返しているあいだでも、つねに周囲の状況や潮流、魚探・GPSモニターの監視・操作を行うことができる。結果、余裕をもった行動がとれるので、あわてることもなくなった。
もちろん、よそ見ばかりしているということだから、小さなアタリを逃していることも多いだろう。しかし先にも述べたように電動リールだと、そうとうに神経を集中させないかぎり食い込むまでアタリはとれないわけだし、わりきって食い込みだけとる、というか、勝手にのってくれるのを待つわけだが、安全が確保できることを考えれば、もうそれでいいんじゃないかと思った。
また、副産物だが、タイラバなど一定のスピードで巻くことが求められる釣りでは、細かくスピード設定ができる電動リールは強みがある。

それとタイラバはバラしが多い釣法である。カヤックフィッシングではなおさらである。カヤック用のロッドは取りまわしのよいショートを選択せざるを得ず、また不安定で窮屈な姿勢を強いられ、深場から巻き上げる疲労もあいまって、ロッドさばきで魚の突発的な動きをいなすといった動作はほぼ不可能に近い。
電動リールであれば、魚とのやりとりにおいては、竿さばきに神経を集中できるので、バラしが減った。もちろん、しっかり食い込んだアタリしかとれていないので、そもそもバラしにくいという要素もそこには含まれているだろう。それを抜きにしても、特に大物とのやりとりでは疲労感がまったく違うので、とにかく竿さばきを積極的に行えるメリットは大きいのではないか。


電動リールのデビュー第1投目にしてヒット。しかし、まず操作を試すだけのつもりだったので、あわてて手巻き。手巻きのまま2mまで上がったところでバレてしまった。
このあと操作を習熟してからの初釣果はマハタ。
鍋の王様である。
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フォースマスター400DH。ダブルハンドルモデルであり、手巻きに迫る軽量さ。
メーカー関係のアングラーが、「これは電動リールではなく、手巻きリールに電動がついた感覚だ」といっていた。それならば本当に最高のことだが、残念ながら私の感想では、まだそのレベルには達していないと思った。
まず巻き味がよくない。電動スイッチ類の操作性も洗練されているとは言いがたい。ドラグ性能もいまひとつ。フリー性能は悪くないが、回転がぎくしゃくしているのか、メカニカルブレーキの設定を慎重に行わないとバックラッシュ気味になりやすい。
このあたりは百戦錬磨で鍛えられてきた軽量手巻きベイトリールには遠く及ばぬが、釣り味ではなく、釣果重視であれば、数打ちゃあたるで、深場を効率よく攻略できる電動リールの持ち味が出てくるだろう。

軽量コンパクトなリチウム系バッテリーが一般化されてきたこともあいまって、カヤックフィッシングにおける釣法に軽量電動リールという道具が必須となる時代も近いかもしれない。そんなことを予感させるシマノ社製フォースマスター400DHだった。

なおバッテリーはシマノ社製純正の電動丸ではなく、プロックス社製の10Aモデルを使っている。深場のタイラバが用途のメインなので、ほぼつねにモーターを回しつづけるため大容量バッテリーの方がいいかと思ったのだが、3時間使っても4段階のLED残量インジケーターはフルを指したまま。これなら半分の容量でもよかったかもしれない。バッテリーについては、また別項で考察したい。


SHIMANO(シマノ) フォースマスター 400 030542

SHIMANO(シマノ) フォースマスター 400 030542