平和と幸福の角ハンガー

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洗濯ものを角ハンガーにかけるのは、皿洗いと並んで、私がもっとも愛する日々の息抜きのひとつである。
秋風が肌を洗う穏やかな陽光に包まれながら洗濯物を干していると、平和の貴さ、はかなさが、かろやかな柔軟剤の香りとともに秋風にのって五体にしみわたる。この平穏平和が永遠につづくものでもないこと、それは人類のたゆまぬ努力と和解の上にしか成り立たぬこと、ともすると当たり前に忘れてしまいがちなこの匂いを、角ハンガーはおしえてくれるのである。

少しでも良質の角ハンガーに出会うことができるのなら、少々の労苦や金など惜しくはない。それほど、まいにちの幸福感に直結する道具といえる。
ホームセンターで買って以来、５年以上愛用してきた角ハンガー。どこの銘柄か分からなかったが、なかなか気に入っていた。同じものを一生分、といっても３つか４つだろうがストックしておこうと思ったときには時すでに遅し。どこの店に行っても同じものが見つからない。

ピンチ部の締め付け力が弱くなったところは、順次、大木製作所のステンレスピンチに交換していった。ピンチとハンガーはタイラップで止めた。

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次にアルミフレームと持ち手をつなぐ樹脂パーツが経年劣化で崩れ落ちた。ここもタイラップを工夫して修理し、だましだまし使いつづけた。
樹脂部分は劣化でどこもヒビ割れ状態。
もう時間の問題だと思ったので、いいハンガーがないか物色もはじめる。しかし見つからない。
そうこうしているうちに、娘が洗濯物を干していたときに大崩落を起こした。

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この折りたたみヒンジ部がイカれてしまっては手のうちようがなかった。

これは困った。
角ハンガーといえば大木製作所が製造しているこだわりのステンレスハンガー以上の品物は世界に存在しないと思っているが、残念ながら大木製作所のハンガーは妻や娘が使うには重すぎる。
軽量であることを考えるとアルミが一番だが、耐久性を考えるとステンレス。悩みに悩んでいるが、ゆっくりもしていられない。洗濯物がどんどんたまっていく。
とりえあず、今回の大崩落の原因となった折りたたみヒンジ部。ここだけは絶対に強度重視。あとは軽量さとピンチの数。
とりあえず、これならステンレスのヒンジ。強そうである。10年もつかな。

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ピンチは50個以上ある。白いプラスチックの角張ったデザインで、無骨ながらばねの強さにも節度はある。ただ、コシがない。
全体のうちの２つをテスト的に大木製作所のピンチをつけてみた。これで具合がよければ全部替えるかもしれないが、そうなると重量増は避けられないだろう。要所だけ大木製作所ピンチにする手もある。では場所はどこが最適か。これは日々、使ってカイゼンをくり返すしかない。ピンチの交換はクリップタイプになっているので、いつでも場所替えを試せる。

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とって部もステンレス。風にあおられたときなど力がかかる部分なので、この強靱な雰囲気はたのもしい。

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ステンレスとアルミのハイブリッド（？）なので、軽量さと耐久性をよく考えた商品になっている。つくりに、なかなかの良心を感じる。
ただ、接合部の樹脂はいかんともしがったのか？　ここが鬼門になりそうな気がする。
とりあえず使用して１ヶ月がたった。
気になるのは、ピンチの位置がなんか微妙な感じで、洗濯物の大きさによって、頭を使わないといけない。パズルみたいな感じ。まあこれもボケ防止にいいか。そのうち、正しい使い方、あるいはこのピンチ配置を設計した人間の哲学に気づく日がくるかもしれない。

今回、使用中のハイブリッド角ハンガー