カイゼン生活

日常的非常事態サバイバンライフ

KAYAK375(ジョイクラフト社製インフレータブルカヤック)

f:id:cippillo:20130922112238j:plain

動力付きゴムボートで定評のあるジョイクラフト社から、動力ナシの純粋なインフレータブルカヤックが発売されたのが2012年。
集合住宅カヤッカーにとって、ひさびさの期待の一艇だったのではないかと思う。
インフレータブルカヤックはすでにキャンプテンスタッグが取り扱う「エアフレーム13コンバーチブル」を所有していたが、今回はおもにその艇との比較において感想を綴ってみようと思う。


重量は19kgと、同サイズの一般的なポリエチレン製ハードシェルタイプよりやや軽い程度。新素材を使ったシットオントップの軽量艇と同じぐらいであるが、KAYAK375がタンデム可能な艇であることを考えれば軽量といえるだろう。ハードシェルでタンデムとなると30kgクラスになる。
エアフレーム13コンバーチブルも19kg。

エアフレームはエアチューブを丈夫なファブリックが包み込む構造なので見た目がかっこいい。船首と船尾はアルミフレームが布地をシャープな形状に押し出し、水切れのよさそうな、いかにもカヤックらしいデザインである。底部はフォームを採用している。(エアフレームシリーズにはエアフロアを採用しているモデルもある)

一方、KAYAK375はエアチューブむきだしで、いかにもゴムボート的な外見。別体となるフロア部もエア式。ただしフロアは高圧タイプのエアチューブで、V型の底形状をもち、このフロアーに押し出されるかっこうで船底にしっかりとしたキールができるようになっている。
このカチカチのエアフロアーのおかげで、水上で立ち上がってもまったく問題なし。幅広の船体とあいまって、立ち漕ぎができるほどの安定性。
エアフレームの方も安定感は悪くないが、フォームの床がふにゃふにゃなので、ここに立つことは難しい。

f:id:cippillo:20130922112230j:plain

フィッシングなど荷物が多くても、KAYAK375の広いオープンデッキは積載性も抜群。乗り降りもラク。金属製Dリングもしっかりしており、純正オプションのカヤックシートはもちろん、フィッシング仕様など好みの他社製カヤックシートも安定して装着できる。エアフレームの方はシートを支えるリングがなく、付属シート以外は難しいので、フィッシングへの適応性という点ではKAYAK375に圧倒的に分がありそうだ。

f:id:cippillo:20130922112233j:plain

タンデム仕様としても、これだけの積載がある。
魚探のソナー部もこのとおり。

f:id:cippillo:20130922112234j:plain

付属のフットポンプも秀逸で、バッグにおさまった状態から、10分もあれば出艇スタンバイできる。(電動ポンプもオプションにあるが不要だろう)
エアフレームの方も悪くはないのだが、手押し式ポンプで腰が疲れるし、KAYAK375ほど素早くはいかない。

f:id:cippillo:20130922112239j:plain

KAYAK375とエアフレームの最大の違いは、撤収時に現れる。
収納バッグに対してややタイトなエアフレームに対して、KAYAK375は、ばんっばんっと折りたたんで、ごそっとバッグに収められる。
エアフレームはバッグに入れる前にしっかりと乾かさないとファブリックが水を吸っているので重いし、そのままにしておくと臭くなる。KAYAK375はゴムのエアチューブがむきだしの構造なので、ささっと水滴を拭き取るだけで撤収可能なので。
あまりレビュー等では触れられていないが、この違いは大きい。
ただでさえ撤収時は疲れていることが多い。陽射しがきついこともある。そんなところで、空気を抜く、広げる、乾かす、そしてたたんでバッグに納めるという作業は難儀なものである。ささっと撤収できる点は、私がKAYAK375を選んだときの重要なポイントだった。

f:id:cippillo:20130922112232j:plainf:id:cippillo:20130922112235j:plain

しかしながら、良いこと尽くしでもない。
驚いたことに、直進性がすごく悪いのである。
KAYAK375はV型の船底形状をもつだけでなく、高さ60mmのダイナキールを2つも装備しており、直進性のよさがウリのはずである。
それが・・実際に漕ぎだしてみると、クルクルまわる。まっすぐ進もうと思っても、パドリングのちょっとした左右バランスの崩れで、修復不可能なほどに、くるくるとまわりだす。
エアフレームの方は、ふつうに漕ぐだけで、しっかり波を切って直進してくれただけに、KAYAK375のクルクルには面食らった。
直進性に劣る10ftのシットオントップ艇で年100回海に出ていた私でこれなのだから、初めての人などはどうなるのかと思った。
どうやらバウとスターンが大きく上に反っているのが原因のように思うが、あまり力を入れず、左右のバランスだけに注力して漕ぐようにして慣れてくると、次第にまっすぐ進めるようになった。子ども同士のタンデムでも、安全な場所で練習すれば、なんとかなるレベルだった。ちょっと癖が強い艇だと認識しておけば、面食らうこともないだろう。

f:id:cippillo:20130922112237j:plain

<スペック>
定員2人
積載量200kg
全長375・全幅99・チューブ径30・船内長350・船内幅39
総重量19kg(付属品含む)
気室数3(チューブ本体2・エアフロア)
高圧エアフロア / V型フロアキール+ダイナキール
付属品:高圧フットポンプ、補修キット、キャリーバッグ


f:id:cippillo:20130922112231j:plain


キャプテンスタッグ(CAPTAIN STAG) エアフレーム13 コンバーチブルポンプ付 MC-1425

キャプテンスタッグ(CAPTAIN STAG) エアフレーム13 コンバーチブルポンプ付 MC-1425