へらぶな釣りの道具で、どうしてもモバイル化できないものに、竿と竿掛けがある。へら竿として市販されているものは、1m前後。竿バッグも135cm程度ある。
へらぶな釣りは趣味性と競技性の高いジャンルであり、道具の中で竿は唯一絶対のものでもある。竿の性能を落としてまで、へらぶな釣りをしたいと思う人間が日本にはいないのか、35cm前後に収納できるいわゆるパックロッドというものがほぼ皆無である。
市販品で唯一、私が知っているのは、大阪のPROX社が出している「超小並継・小技へら」6〜9尺のラインナップのみ。仕舞寸法31cmで継ぎ数8〜11本。9尺を買ってみたが、11本継ぎというのは何とも面倒。並継ぎなので、小継ぎのわりには穂先までシャキっとした振り抜き感がありフィーリングは悪くないのだが、継ぎ本数が多いだけに精度を出すのが難しいらしく、硬いところがあったり、逆にすっぽ抜けやすいところが混在していた。
よってこれはマジックソーで持ち手部分を切断し、スノーピーク社製の万力と組み合わせ、竿掛けとして使うことにした。
切断面
また、釣り竿としては新たに同製品の8尺を導入。これは購入時から穂持ちの口巻きが割れていた。さいわい9尺の方を竿掛けにした都合で穂持ちがあまっていたので、そちらを流用。各尺ともに穂先から順番に共通部品で、尺が短くなるごとに継ぎ数が一本ずつ減っていくという仕組みになっているからできたことだ。
先に述べたように、この商品は日本で唯一のへらぶな用パックロッドであり、振り込みから取り込みまでのフィーリングもシャキッとしている意欲的な商品である。精度を出すのが難しいのは理解している。検品がたいへんなのも分かる。値段が倍になっていもいいから、しっかりと精度の出た製品を出してほしいと思っているが、そんな需要は存在しないのだろうか。
セットした状態。
第1回目のテスト
第1回目のテストは2014年3月、清川つくしフィッシングセンター(神奈川県清川)で実施。
清川つくしフィッシングセンター(神奈川県清川) - 水辺遍路
小枝へら8尺は深さが合っていたこともあり、底釣りでもしっかり楽しめることができた。竿のフィーリングがパックロッドとしては秀逸。
スノーピーク社製ニューチャーム大砲型万力は角度調節がアバウトにしかできないので微妙に水中に穂先をつけることができなかった。しかし持ち手部分を高く保てるので、竿から手を離すことがないへらぶな釣りにおいても椅子にすわって釣りができる。通常の万力では高さが出せないから、ざぶとんにすわるしかない。ざぶとんはけっこうかさばるが、コンパクトに折りたためるフォールディングチェアならば軽量だし収納時も邪魔にならない。写真のチェアは画家さんたちにも人気になったグリベルモンブラン社製のもの。
さて順調にへらぶなを釣り上げていったが、最後はやはり抜けた。継ぎのゆるい部分が魚の引きに負け、仕掛けごと持って行かれた。小さな管理池なので回収できたが、野釣りではちょっとこわい。継ぎ数の多いパックロッドは継ぎ部分で抜けるリスクが高いことから、野釣りにおいてはフィーリングを犠牲にしてでも、テレスコタイプの振り出し竿の方がよさそうに思った。
荷物一式は、パタゴニア社製の40リットルのダッフルにおさまった。
メガバス社の製品を試す。
へらぶな竿ではないが、完成度の高いルアーやリールで定評のあるメガバス社から振り出し式の竿が出ていることを知り、さっそく7尺を導入。
一風竿「利休」という名が冠せられたこの製品は、7尺、9尺、10尺、11尺がラインナップされ(なぜか8尺がない)、ほとんどが共通部品で構成されるPROX社製品とは対照的に、各尺ごとにカラーと意匠が異なるというメガバス社らしいこだわりが投入されている。
購入した7尺は朱塗りの口に金を巻いた贅沢な装いで、栓も木製で味がある。
第2回目のテスト
2014年3月。
大上ヘラ池(千葉県長生) - 水辺遍路
モバイルパックといえども少し味を求めたくなり、万力をもともと持っていた木製タイプに変更。軽量になったかわりに、ざぶとんが必要になった。
さて実釣。
「利休」七尺の持ち手は綿糸巻きで、竿尻の処理も美しい。寸胴になっていないので、手にしっとりなじむ感じはないが贅沢はいえない。
竿のフィーリングは腰がないふにゃふにゃな感じで、鋭いアワセはきかない。スローテンポで精度の低い釣りになるが、優雅にのんびり楽しむとわりきれば、まあそんなに悪くはない。もともとへらぶな用ではないのでやむなしだが、逆にいえば、水郷での手持ちによるタナゴらの小物釣りにも応用がきくので用途は広い。万が一、大きい魚がかかっても振り出し式なので竿先を持って行かれる心配もない。
第3回目のテスト
2014年4月。
あらかわ遊園のつり堀(東京都荒川) - 水辺遍路
東京都内に電車釣行でのテスト。
メガバス社の製品、第二弾導入
メガバス社製一風竿「利休」がなかなかよかったので、七尺につづき、九尺も導入。
これは七尺の優美さとは対照的に、枯竹の風合いを演出した素朴な仕上げとなっている。
第4回目のテスト
2014年4月。
笹下釣り堀センター(神奈川県横浜) - 水辺遍路
横浜市内の釣り堀に、電車+ランニングでの釣行テスト。
くわしくは下記の記事参照。
モバイルへらシステムを考える(2)パッキング - カイゼン生活
第5回目のテスト
2014年8月。
いよいよ野池へとくり出した。野池といっても釣り桟橋の設備が整っている場所なので、へらぶなの放流も行われている場所なので、モバイルへらパックの野池デビューには最適の地である。
猛暑の時期だったので、長野県の標高1000mの野池で早朝1時間だけの釣りとなった。ここは深さに合わせて九尺を起用。
底釣り用の重いエサだと竿が弱すぎて振り込みがうまく決まらない。この日は微風だったからよかったが、風が強くなるとどうにもならなさそうだ。そういう日は七尺にとどめておくのがよさそう。
引き上げ性能について。
尺程度のへらぶなでも、かなりスリリング。競技用の竿ではないので、竿のトルクで底からぐいぐい引きずり出す感じではなく、時間をかけて腕ぜんたいを使ってねちねち引き上げる。
それでも、尺マブナがかかったときは、いっきに走られ焦った。振り出し式でなかったら不安でやりとりを楽しむどころではなかっただろう。穂先を持って行かれたら野池だけに回収は厳しい。
その点、一風竿「利休」九尺はおおしろかった。振り出し小継ぎ竿にありがちな先はふにゃふにゃで手もとがガチガチという中途半端な弱腰ではなく、持ち手近くからしっかり曲がる。
オフショアのムーチングロッドのような感じで、泣き尺のマブナでもヒラマサでもかかったかというスリルがあった。
この釣行については下記の記事も参照。
モバイルへらシステムを考える(2)パッキング - カイゼン生活
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