カイゼン生活

日常的非常事態サバイバンライフ

行き着いた先は、14インチのデュアルパーパス(カワサキ社製Dトラッカー125)

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2010年に原付二種のKLX125がデビューしたとき、これぞ待ち望んでいた理想の小型オートバイクだと歓喜し、即刻、購入した。
五年後に手放すことになるが、五年という所有期間は私の中では破格に長く、その点でもこのオートバイクの満足度が高かったということが分かる。
その後、ハイエースに積載しての遠征用途が多くなったため、モンキーや12インチのKSR110PROなどを試してきた。

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ともにハイエースへの搭載性は素晴らしいものの、オートバイクとしての走行性には少なからず難があり、遠征先でタンデムができないことも新たな課題となった。
遠征先で林道をタンデム走行するというのが、2017年からの新たなスタイルとして魅力を感じていただけに、モンキーとキャラクターがかさなるKSR110PROを手放し、タンデムができて林道を走れる原付二種を探しはじめた。
新しいグロム、Z125も候補には挙がったが、完全にロード寄りのバイク。
中古車だけの選択肢となるがホンダのXR100モタードが筆頭の選択肢となった。ただ100ccの非力さは想像にかたくないし、キャブ車はハイエースに積むとガソリン臭くなることとキックスタートに難があるかもしれない。
キックスタートであってもフューエルインジェクション搭載のモンキーFIなどは、あきれるほどにオールタイム、キック一発始動が可能。遠征先で、エンジンがかからずキック100発、汗だくになるというようなことは、できれば避けたいものだ。
そんなとき、ふと気がついた。KLX125に回帰するのもありでは?
五年も愛したオートバイクである。間違いない。
ただ、ハイエースに積載するときに、ミラーをはずさなければならず、車高がある分スペースもとるため、快適な車中泊と両立させることが難しいことも分かっている。遠征先で一日に、四回、五回、出し入れすることもあるし、車中泊する夜間はいつでも出発できるようオートバイクは車内に格納するようにしている。
あとはシートだ。三角木馬と揶揄されたシートは、手放してから二年たった今も尻にありありと苦痛が蘇る。ただでさえ尻骨が皮膚を突き破りそうな遺伝子をもった自分には50km走るのが精一杯だ。
そんなとき、2012年以降のモデルは純正シートが劇的にカイゼンされたということを知った。
さらに積載量が1kgという、まったく使えない純正キャリアも、2012年以降のモデルでは3kgと実用範囲にカイゼンされている。

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2012年以前モデルと2012年以降モデルとではキャリアの品番が異なる。また、2012年以降モデル用のキャリアであっても、2012年以前のモデルに装着した場合は積載量は1kg以内となので注意が必要だ。
ふと、かつてKLX125に乗っていたとき、信号待ちで隣に止まったDトラッカー125を見たときのことを思い出した。
なんちゅう小さいオートバイクや・・。突き上がったKLX125とまったく同じ車体やちゅうのに、足まわりが違うだけで、なんでこんなちっちゃいんやろ。
ただそれだけの、その、なんともそっけない記憶が、今、閃光となって側索神経を貫く。身近すぎて気づかなかった・・。それや。
Dトラッカー125であればミラーをたたまず積載できて、かつ、車中泊における快適性を両立できるかもしれない。
車体、エンジンまわりは長く乗ってきてKLXと同じだから保証済み。2012年モデル以降なら、シート問題、積載問題も一挙解決。
問題はDトラッカー125は一年前に販売終了、あの素晴らしすぎる孤高のKLX125も今年で販売終了が決まっている。Dトラッカーの方もまだ店舗在庫のあるところでは新車も買えないこともなかったが、心に響くカラーリングは2014年のオレンジぐらい。
気長に探してもらって見つからなかったら最後の新車狙いかなという軽い気持ちで、近くのバイク屋へ。

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2014年モデルDトラッカー125オレンジのノーマルで純正キャリア付きという、ピンポイントな条件で探してもらったら、その場で出てきた。
走行距離こそ9千キロ越えと、原付二種なら賞味期限切れかなとも思ったが、前オーナーの愛情がすみずみにまで行き渡っている実車を見て購入を決めた。たとえ走行距離が数百キロでも愛情不足でやさぐれてしまった中古車にやられてきた経験がある。一度やさぐれてしまったやつは、ほんとうに手間と金がかかるし、ちょっとやそっとでは性根は直らないのである。不思議なことに。

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実車が来て。

前オーナーには、ほとほと頭が下がる。一度、左に転倒した痕跡があるが、そういうことは隠そうとせず、スプロケットの状態、チェーンのリンクの継ぎ目、スポークとハブの接合部と、すみずみにまで深い愛情が染み通っている。
ウィンカーボタンやクラッチ、ブレーキも、丁寧によく使い込まれて、しっくり。いやあ、世の中には立派な人がいるものだと感心。
納車までに追い金を払って、左ハンドルグリップとタイヤを新品に交換してもらった。バッテリーは様子を見てからにすることにした。
KLXとの比較では、サスが格段にいいと思った。もともと前サスはKLXのブーツ付き正立に対してDトラッカーは豪華な倒立が装着されストロークも短めだが、リヤサスの進化に驚いた。
もともと柔らかいのが好きな方だが、KLXのリヤサスは経年変化が大きく、最後はぺったんぺったんで踏ん張らなくなった。記憶違いでなければリヤサスも後期型はカイゼン版が入っているはずである。とにかく、Dトラッカーのリヤサスは9千キロも走っているにもかかわらず、他の部位とのバランスがいいのか、オーリンズかと思わせる素晴らしい乗り味である。特にタンデム時の林道は、なめるような走破感に感動さえ覚えた。

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KLXの反省から。

KLX125は、あまりにカッコよすぎた。カッコよすぎて、ついカッコよさを追求してしまった。
リヤフェンダーははずし、アルミフェンダーレスに小型LEDテールランプ。
ウィンカーはナツメ型LED、ミラーは可倒式、ハンドルはブレースバー付きのレーシングタイプ、ハンドルガードは定番のZETA。
もちろん、リヤキャリア、リヤボックスは言語道断もってのほか。純正のツールボックスさえ、はずした。タンデムステップもステーごとはずしてやろうかと思った。
カッコよさを追求するということは、そういうことになる。
しかし、おかげであれこれ悩まされた。ウィンカーは足が当たるだけで何度も折れ、ガムテープで補修しても、またやってしまい、新品に。で、また折る。
ハンドルとナックルガードはカッコいいが、幅広ですり抜けがままならない。
ミラーは風圧でくにゃっと曲がるし、いちいち、小さいところどころでストレス発生。
カッコよさを追求するとは、そういうことである。
マフラーは純正の巨大なやつから軽量化できたのはよかったし、最初のころこそ、ええ音じゃわあと喜んでいたが、KLXのインジェクション制御は寒い日など5千回転で自動暖気を行うものだから、始動早々、問答無用で爆音。
近所迷惑が気になって、いちいち離れたところまで押していく。何やってんだろ、僕。
けっして違法改造ではなく、ちゃんと規制クリアーの値が張るマフラーなのに。
けっきょくあれこれ改造したことが、KLXを手放す要因のひとつになったともいえる。
だから今回のDトラッカー125導入にあたって、強く心に決めている。
けっして、カッコよさに惑溺せぬこと。
実用一本、ノーマルを基本とし、細かなカイゼンに留める。

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純正リヤキャリアをめぐるカイゼン

当初は手持ちのGIVI社製アルミ42リットルボックスを装着。
純正キャリアは3kgまでだが取り付け部位がしっかりしているので多少の重さは耐えられそうである。とはいっても上記ボックスはベースと合わせて空荷状態でも8kgほど。

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この超過ともいえる重量オーバーは、いくらなんでも怖いので、ノートパソコンやドローンなどを運べる容量などを考慮して、樹脂製の43リットルタイプを選択。
これについては別途、リヤボックスE43ADVの記事の方に詳述したが、細かいところではボックスの取り付け位置をやや後方にオフセットして、純正工具ケースを装着した。
もともと工具ケースを付けられる設計になっているのは、純正キャリアの良いところである。

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工具ケースに入っているものは、ビニール袋に入れた書類コピー、純正工具と個人的に追加した三本のアーレンキー。

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一番太いのはミラー脱着用、二番目は可倒式ミラーの可倒テンション調整用、三番目はハンドルまわりに装着したスマホホルダーの締め付け調整用と、比較的使用頻度が高そうなものである。

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ハンドルまわりをめぐる小さなカイゼン

ハイエースに積載し、遠征先で広域調査を行うためのDトラッカー125。ナビなど装着するためのスペースに難があったため、目立たないブラックのPOSH社製ブレースバーを装着。機器のホルダーステーが装着しやすいよう二ヶ所が太くなっている気配りのベストセラー商品で、226mm+クランプセットでDトラッカー125の純正ハンドルには簡単に取り付けることができた。
装着後、かちっとしたハンドルのタッチになり、振動も低減する効果も得られた。

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また、ハイエースに頻繁に積載、射出をくり返すため、ミラーをいちいちたたまなくていいタイプに変更。可倒式タイプのミラーは、風圧に負けて角度が変わったり、ベストポジションを出すための調整がいちいち面倒くさいという反省から、ミラーをたたまずともハイエースに積むことができそうなものを選んだ。シルバーとブラックがラインナップされていたので、やはり目立たない黒を選んだ。
このミラー、じつは可倒機能もついている。可倒といっても、通常商品のようにフレキシブルに動くタイプではなく、一定方向に二段階、三段階にかちっ、かちっとクリック感のある動く感じ。アーレンキーでクリック感の強さの微妙な調整も可能なので、ベストポジションが崩れず重宝している。
ノーマルに比べて視認性が落ちることはやむなしと思っていたが、たまたまDトラッカーのポジションとのマッチングがよかったのか、想定外にも視認性はまったく落ちなかった。(KSR PROのときは、あまりに視認性が悪く純正ミラーに戻したものだが)
さすが、ロングセラー商品だけのことはあると見直した。

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ハイエースに積載固定時に、もっとも左側に出っ張るのがクラッチレバーの先端。ショートレバーに換装することで、コンパクトな積載が可能になる。狭い車内なので、わずか数センチも大きな違いである。また、林道走行も多いので、万が一の転倒時にレバーが折れるリスクを減らす効果もある。

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その後、7月に房総、8月に積載したままの車中泊を含めて岐阜に実戦テストを行なった。
特筆したいのはシートの素晴らしさ。KLX125のときとは別モノといっていいレベルに仕上がっており、いやはや細かなカイゼンとは実に大事だと痛感した。2010、2011年式の車両に乗っていて尻痛に悩んでいる方には、後期型シートに変更することを自信をもっておすすめしたい。
全体的に、長距離弾道の実戦投入に問題ない形になってきたようだ。

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岐阜での実走テストにおいて。