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世界最高のインフレータブルカヤック(KXONE社製スライダー445)

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KXONEのSLIDERは、8気圧の高圧ボードを3枚合わせ、バウとスターンにハードな樹脂パーツが組み込まれている。SUPを3枚合わせたような構造で、インフレータブルカヤックの宿命的な欠点だった波切り性の悪さを克服している。
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世界3社から同じ艇体が発売? まさに世界最高峰のインフレータブルカヤック

2018年の西日本豪雨では、クルマに積んでいた釣り用のゴムボートを出艇して倒れるまで漕ぎつづけて救助活動をしたというニュースがあった。もはやこの日本では、カヤックやボートも立派な防災グッズなのだと実感した。
そんな説得力を後ろ盾に、所有していた3艇のインフレータブルカヤックとSUPを下取りに出して、現在、KXoneブランドのSLIDERというインフレータブルカヤック新艇を導入した。
正直、それまでKXoneというメーカーは知らなかった。ヨーロッパ風に見せてはいるが韓国系? ともかくそのフォルム、構造を見たときに、ついにこんな革新的なIFカヤックが出てきたかと感嘆したものだが、何よりSUPのレース界でインフレータブル最高ブランドとして君臨するミストラル社が、この艇のOEM供給を受けKANUyakの名で輝かしいミストラルロゴをつけて発売しているほか、やはりSUP界で存在感を増すBIC SPORT社もまたYAKKAIR FULL HPシリーズ名でまったく同じ艇体を販売している。
把握しているだけで同じ艇を三社がカラーリングや細部、収納バッグを変更するだけで販売していることになるが、これはヒュンダイのクルマをクライスラーと、ルノーが名前を変えて販売しているようなもので、考えてみたらすごい。それだけ完成度が高い艇といえるだろう。
ミストラル社とBIC SPORT社からリリースされているのは、ともに2タイプ。一人乗り用と二人乗り用。
しかしKXONE社からは3タイプ出ている。上記2タイプとまったく同寸法のものの他に、2人乗りながら艇長が40センチほどショートなスライダー445である。
今回、導入したのはまさにその445。ちなみに同じ二人乗りでもロングの方は485センチあり、ミストラル社での販売名は「DUO」(デュオ)と、さすがトップブランドらしいカッコよさ。大人二人と子ども一人が乗れる。
現在のところKXONEだけが販売する445は2017年の新作のようだ。

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BIC SPORTSのFULL HPでは、艇内のDリングに太めのロープが通されて標準装備されている。これはなかなか便利そうなアイデアなので、自分の艇にも応用してみたい。


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ミストラル社が販売するKANUyak。明らかにフットブレースがしっかりしたものに変更されているほか、艇サイドに左右二ヶ所ずつハンドルが増設されており重量は重くなっている。艇体構造およびサイズはまったく同一。


三社とも形態が明らかに異なる収納バッグ。ここは苦戦どころ、ということの証拠?

同じ艇をカラーリングを変えて販売している三社だが、収納バッグについては三社三様となっているところが興味深い。
いちばんシンプルなのはBIC SPORT社で頭陀袋のような赤いバッグ。
ミストラル社はスクエア型で三つの車輪がつくキャリー型。
KXONEは同じくスクエア型ながら車輪はミストラルよりひとつ少ない二輪で、リュックのように背負えるようになっている。
購入時は、なんといってもリュックタイプがいいなと思ったが、いざ現実、導入してみると、これを一人で背負うのはかなり厳しいものがあった。背負ってしまえば何とかなるが、地面に置いた状態から、よっこらしょっと立ち上がるのは誰かのサポートなしでは厳しかった。ベンチやハイエースの荷室など、一度、少し高い場所にバッグを置けば、わりとスムーズに背負えるが、必ずしもそういうシチュエーションばかりではないかもしれない。

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バッグサイドにはパドルや釣り竿を収納できるポケットがついていて、これは便利だ。バッグの材質はやわらかいが、車輪のついている底部には樹脂の補強板が入っている。

最大の難点は、とにかくバッグに入れることが難しいこと。
初めてのときは折りたたんだ角が少しはみだした状態で入れるのがやっとだった。二回目はなんとかはみ出さずに収納できたものの、30分以上かかって汗だく。
しかし3回目、4回目と、回を追うごとに短時間に、しかもコンパクトに納めることができるようになってきた。
コツは3点。
一つ目は、折るポイントをしっかり把握しておくこと。まだ若干の試行中ではあるが、ビシッとたためる場所が特定できたらマジックで艇体に印を付けておこうと思っているが、一発目の折り目が適正でないと、あとはいくらがんばったところでバッグには収まらない。
一発目の折りたたみポイントは、だいたいのところでいうと、船底のハード樹脂パーツが終わるところ。

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左が船尾側。右の船首側はかなり小さい。これを右側からくるくるっと巻いていく感じで二回折ると、左の船尾側にぴったり合う、はず・・だが、微調整をしながらなので正確ではない。正確な折り位置が分かったら報告します。

上の写真の状態のときには、付属のバンドでしっかり細くしておく必要がある。これ、けっこう大事。
付属の3本のバンドのうち、1本だけループがないバンドがあるので、それを使う。最初に船体を細くしておく。これは収納時の保護の意味でも大事。船尾の黒い部分は構造的に引き裂きなどに強くなっているので、細くバンドで絞る段階でしっかり黒い部分の中に白い部分をたぐり込んでやる。ただあまり細く縛りすぎると、今度は厚みが出てしまうので、ほどほどで。上の写真ぐらいでいいと思う。
二つ目は、三本の付属バンドをしっかり活用すること。説明書にバンドの使い方が出ていなかったので試行錯誤で考えたが、うまく使うと秀逸なバンドだった。
先述したようにループのないバンドは最初に船体中央で細く絞るために使う。
残る二本は同じ長さで、ともにエンドにループがついている。最初は使い方が分からなくて困ったが、どうもこのループにもう一方の端をくぐらせて引き絞るような感じでバックルを留める。慣れてくると、このループバンドの素晴らしさに気付いた。ここをしっかりやっておけば、バッグに入れなくても二本のバンドを持って運ぶこともできる。

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二本のループ付きバンドで留めた状態。自立すれば成功は目前だ。


ポイントの三つ目は、最初に言えよという話になるが、折りたたむ前にしっかりデフレートしておくこと。お腹と背中がくっつくぐらい、ぺったんこの状態にしておく。
ただし標準付属のポンプは容量も大きくシングルアクション、ダブルアクションの切り替え付きで、なかなか優秀なのだが、デフレート機能が付いていない。
デフレート機能付きの電動ポンプの導入も検討したが、早朝の活動が多いため周囲への騒音迷惑や、遠征時の電源の確保、2万円以上の価格の高さを考えると、なかなか踏み切れない。
高圧ボートとはいっても、超高圧のSUPと比べれば屁みたいなもので、たかだか8気圧。
空気を入れるのは今のところ娘の担当だが、ゆっくりやっていいよ、と言っても三気室をフルにするまで10分もかからない。音はしないし電気はいらないし早いし人間ポンプも侮れない。文句は出るが。
デフレート用ポンプを別に安く、コンパクトに導入できないかと検討したところ、よさそうなものを見つけた。これまで圧力鍋をはじめアウトドアグッズでも多くお世話になっている新潟県燕三条パール金属ことキャプテンスタッグ・ブランドのフットポンプ。2,700円なら試してみる価値あり。
子ども用の浮き輪用なのでバルブアダプターが適合しないのは当たり前だが、便利なことに高圧バルブ用のアダプターが単体でも購入できる。

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薄くコンパクトなフットポンプを選択。収納バッグのすきまにうまく納まった。

 

デフレーターが壊れた。

子どもの浮き輪用フットポンプと高圧バルブアダプターの組み合わせで、みごと収納バッグに収まるデフレーターに成功したように見えたが、次に使おうとしたとき、アダプターを無理矢理ねじこんだホースの基部が割れていた。

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無理矢理ねじこんだはいいが、二回目に使おうとしたときにホースの受け側が割れてしまった・・。(右写真)


ここでデフレート機能付き電動ポンプに大枚をはたくのも痛いので、もう一度、あがいてみることにした。
そうしたら、なんということか・・。
無理ヤリねじこむんじゃなくて、ポンプ付属のアタッチメントを使えば、すんなりピタっとはまったではないか。割れてしまう前に気づくべきだったが、押してだめなら引いてみな、の発想に至らなかった。
とりあえず高いものではないので次に買い直すときがあったら、この方法が使えるし、修理するにしても精度が上がる。
今回は、ジャバラホース対応の漏れ修繕専用テープなるものを試してみた。

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なんのことはない。逆転の発想で、デフォルトで付いているノズルパーツを潜り込ませればよかったのだ・・。これならどこにも負担をかけず、カンペキに使えたのでは? しかしホース側が割れてしまった今としては、すでに遅し。


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しかしここでジャバラホースの漏れもピタっと止めてしまうという、ホース補修専用の融着タイプのテープを購入して試す。融着タイプはテープに粘着剤が使われておらず、テープ同士が溶け合うようにくっつく。これには感動。みごと漏れはストップした。あちこちの補修に使いたいところだが、テープとテープを重ね合わさないと粘着してくれないので、やはりホース修理限定か。

導入初期インプレッション。(湖と海と)

まずは陸水域での試走。
なるほど圧倒的な波切り性。底もハードフロアなので、すべるように・・とまではいかないが、インフレータブルであることを、ちょっと忘れそうになる漕ぎ出し感。ただし構造はSUPみたいなものなので喫水線上の体積が大きく、つまり強い風には滅法、弱い。
強い向かい風だったこの日、漕げども漕げどもなかなか進まず、たまたま下取りに出したのと同じキャプテンスタッグのインフレータブル艇がいたが、向かい風においては確たるアドバンテージは感じられなかった。
ところが漕ぐのをやめると、びっくりするぐらいの速度で岸まで戻された。二人乗りでこれだから、一人乗りをしていたら、もっと激しそうだ。

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次に海に出た。うねりがあったが、ほぼ無風。横波を受けても気になるほどバランスが崩れるわけではないが、安定性についてはインフレータブルカヤックの圧倒的優位なポイントであり、ここは通常のチューブタイプのインフレータブルカヤックの方が利がある。艇内に水が浸入すると自動排水してくれるわけではないので、ダッキーのような使い方は難しいだろう。艇尾のハードパーツ部分に排水用のドレンボルトがあるが、艇を降りて船体をさかさまにしないと水抜きができない。少々、波の荒い海に出るならビルジポンプかスポンジはあった方がよい。

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すさまじすぎる直進性。

直進安定性はすさまじい。二人乗りの状態の後部席側では、いくら右に曲げようとしても曲がってくれない。左右どちらかのパドリングだけでも、まっすぐ進む。
スケグがききすぎている?
きいてくれるのは結構だが、このスケグ、長すぎて地面に置くときなど、ちょっと不便だ。空荷ならともかく、荷物を積んだ状態で前後から二人で持って移動するわけだから、どうしてもスケグを付けるのは水に降ろす直前となって、波などあると全身ずぶ濡れだ。
しかしスライダーの底部はSUPと同じように極端にフラットであり、スケグがないとくるくるまわってしまうかもしれない。試してみればいいだけのことなので、これも後日、レポートしたい。
このスケグ、ショートのフレックスタイプに交換できないか、また、その場合に直進性がどこまで失われるのか試してみたいと思っている。

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船尾と船首にはハードなプラスチックパーツが貼り付け固定されている。船尾には後付けの長いスケグも。

艤装の前に。基本装備をじっくり活かす。

Dリングが左右6ヶ所ずつ、計12個あるので、二人乗り、一人乗りの場合ともにカヤックシートの取り付けに問題はない。

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KXONEスライダー445における一人乗りのセッティング。


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三つの気室の各バルブが一カ所にまとまっているので、エアー注入やデフレートは楽だ。インフレータブルカヤックには、シートやら何やらにエアーを入れさせるものも多いが、この艇に関しては他に空気を入れるところはなく潔い。


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ハイエース(ナロー)への縦の積載。ベッドスペースがじゅうぶん確保できている。


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前後にはバンジーコードが標準装備。まだ活用していないが、どう活かせるかを考えるのは楽しい。クーラーボックスのサイズは幅420mm、高さ330mm。通常は前シートの真後ろを定位置にしているが、艇幅のチェックのために前シートの前に据えて撮影。